「カールステン・ニコライ:Parallax パララックス展」に行ってきました / by shinya fujiwara


<カールステン・ニコライ:Parallax パララックス展>
Museum : 市原湖畔美術館
Date: 2017.03.18〜2017.05.14

unidisplay(ichihara version) - 2017 / Carsten Nicolai

unidisplay(ichihara version) - 2017 / Carsten Nicolai

市原湖畔美術館で2017年3月18日〜2017年5月14日のあいだ開催されている「カールステン・ニコライ:Parallax パララックス展」に行ってきました。
テーマは「パララックス」。パララックスは視差という意味で、複数の視点から対象をみるときに見方や印象が異なってみえる現象のことです。

展示を開催しているのは、千葉県市原市にある「市原湖畔美術館」。市原アートミックスの会期中の展示です。市原湖畔美術館は都心から2時間ほどで行ける場所にあり、日帰りのショートトリップによさそうでした。ちょうど菜の花が見頃で、来る途中には至る所に菜の花がありました。

美術館前から見えた景色。

美術館前から見えた景色。

美術館前から見えた景色。この写真を撮影した場所の背後にあります。

美術館前から見えた景色。この写真を撮影した場所の背後にあります。

この展示はラジオで知りました。カールステン・ニコライ氏は「アルヴァ・ノト」名義で音楽活動も行っていて、認識はしていなかったものの坂本龍一氏との共作作品を聴いていました。

着いて早々に展示へ。

まず展示室に入って一番最初に現れるのは、真っ暗な空間の中に横に長いディスプレイで、「unidisplay」という作品です。

unidisplay(ichihara version) - 2017 / Carsten Nicolai

unidisplay(ichihara version) - 2017 / Carsten Nicolai

配られたガイドによると「記号認知の法則を提示するインスタレーション」とのこと。
24種類の映像が一定時間で切り替わるのですが、それぞれはシンプルな線や模様で作られたパターンが動くようなものです。「これはなんだろう」と一瞬考えるのですが動きをみていると法則がみえてきたり、自分が模様を何かに見立てたりし始めていることに気付きます。同行した彼女は模様に意味付けをし物語を作っていたようで、この記号認知の方法は、人間性を形づくる上でとても基礎的な部分を露わにするのかもしれないですね。何が何にみえるのか。

unidisplay(ichihara version) - 2017 / Carsten Nicolai

unidisplay(ichihara version) - 2017 / Carsten Nicolai

unidisplay(ichihara version) - 2017 / Carsten Nicolai

unidisplay(ichihara version) - 2017 / Carsten Nicolai

以下は「ヴォルケン(雲)」という自然をテーマにした作品です。雲をミクロ的・マクロ的な視点からみてみるという作品。この展示室からは湖がみえ開放的な雰囲気でした。

ヴォルケン(雲)- 2012 / Carsten Nicolai

ヴォルケン(雲)- 2012 / Carsten Nicolai

雲は、大気の動きや温度、湿度の条件が揃うと僕たちの目に見えるあの雲になります。水や氷の集まりが雲ですが、雲ができるということは空に水や氷が浮いても落ちてこない条件が揃っているということです。そしてたかが水や氷が集まると、この作品のように予想もできない形や模様を生み出します。

複雑な問題は、ある側面では単純にすることはできるけど、それがいくつも重なり合っているので複雑になるんですよね。それぞれが依存したり関係したりしているので複雑な問題は複雑な問題のままだし、単純化したところで何の解決にもならないことが多々あります。発想を飛躍させると、雲をみるということは僕たちの抱える問題をみるようなことでもあるのかもしれません。

そして僕が興味深く思った展示、「particle noise (ichihara version)」です。

particle noise (ichihara version) - 2017 / Carsten Nicolai

particle noise (ichihara version) - 2017 / Carsten Nicolai

放射線量を計測する「ガイガーカウンター」で展示室の放射線量を測り、音に変換、8チャンネルのサウンドシステムから音を流すという展示です。みえないものを見えるもの/聞こえるものに変換するという試みはどこか惹かれるものがあります。この展示や、アルマ天体望遠鏡で捉えたデータを基にCDを制作した「ALMA MUSIC BOX」のように、自然をベースに作られた音を聞くというのは、この世界の秘密を自分の中に取り込むことができるひとつの方法のような気がしてとても気持ちがいいです。
また、放射線(宇宙線)を可視化するものとして霧箱という装置がありますが、これも見えないものを見えるものにするひとつの方法かもしれません。

シンプルな線や音や表現に、宇宙すべてが凝縮されているような展示でした。
展示室で体感している最中はよくわからなかったりどう向き合えばいいのか?など考えてしまいますが、その思考にこそ展示の意図が隠されているのかもしれません。